2021/07/09
弊社建造のLNG燃料内航貨物船が株式会社海事プレス社ご出版の「海事総合誌 COMPASS 2021年7月号」に掲載されました。
2020年12月に竣工した「いせ みらい」は、日本の内航貨物船で初のLNG燃料船です。
2020年1月から始まったIMO(国際海事機関)の硫黄酸化物(SOx)排出規制強化により、全世界の船舶で燃料の硫黄分を0.5%以下にすることが求められ、本船はLNGを燃料として設計および建造されました。
LNGは、燃焼時のSOx排出をほぼゼロにできるだけでなく、温室効果ガスである二酸化炭素(CO₂)は一般的な船舶燃料油に比べて約24%削減、窒素酸化物(NOx)の排出は約43%低減できます。
主機関は、LNGとA重油の二種類を燃料として使用でき、本船は入出港のスタンバイ時にA重油を焚き、航海スピードになる前にガス焚きに切り替わります。燃料ガス系統に異常が生じた場合でも、ガス運転モードからディーゼル運転モードへの瞬時の切り替えが全負荷領域で可能となっています。また、ガス炊き運転中はエンジン音が非常に静かで、船内の労働環境改善にも寄与しています。
このほかの特徴的な仕様として、プロペラ1枚に対し舵2枚を備えた「ベクツイン・システム」を採用し、舵角は105度から35度まで自由に動く特徴があり、舵の操作だけで前進から後進へと高い操船性能を発揮できます。
本船の建造プロジェクトは、LNG燃料のガスエンジンと供給システムにおける燃焼効率の最適化を図る技術実証実験として、環境省と国土交通省の補助制度「代替燃料活用による船舶からのCO₂排出削減対策モデル事業」の対象に選定されました。
引き続き、環境に配慮した船舶の開発・建造に取り組み、持続可能な社会の実現に向けて貢献していきたいと考えております。